ポストFIT時代の全量売電型太陽光とは?
1.全量売電と余剰売電の違いとは?
太陽光発電システムを設置して売電する場合、「全量売電」するか「余剰売電」をするか選ぶことができます。
全量売電とは、読んで字の如く、発電した電気をすべて売却することです。
【全量売電型太陽光事例】
24時間全量売電を実現するFIT×蓄電池
発電した電気を日中売電しつつ、PCSでピークカットされる電気を蓄電池に充電し、早朝~夜間に放電し24時間の全量売電を行っています。
収益性が非常に高く、投資回収年が早いことが特徴です。
反対に余剰売電とは発電した電気を自家消費し、余った電気を売却することです。
【余剰売電型太陽光事例】
嵐山町花見台工業団地管理センターの非常用蓄電池電源システム
屋根に設置した太陽光で発電した電気を構内で消費します。
2.ピークカットを無駄にしない蓄電池付き太陽光発電
従来のFIT(固定価格買取制度)による太陽光発電所では、発電量を増やすためにPCSを容量より多いパネルを敷設する過積載が一般的でした。
そのため、午前中や夕方など日射量の少ない時間帯は過積載なしと比較して多くの発電が可能ですが、
日射量の多い12時~14時ごろは発電量がPCSの許容量を超えるピークカットが発生します。
ピークカット分は発電しても売電できず、そのまま捨ててしまうことになります。
このピークカット分を蓄電池にため、別時間帯に放電することをピークシフトと
例えば、下記のグラフは、
PCS49.5kWに対して太陽光パネル を125kWを敷設した発電所実際の発電量データです。
年間で一番発電量が多い5月と一番発電量が悪い12月の1日の発電量を抜粋しています。
上記グラフは低圧発電所として連系しているため、PCS出力の49.5kWで制限(ピークカット)がかかります。
そのため、発電量が多い5月では147.65kWh、発電量が少ない12月でも33.95kWhもの発電電力が余っていることがわかります。
このような状況を改善するために蓄電池を設置し、ピークカット分の電気を蓄電池内に貯めてピーク時以外に放電し売電することが可能です。
出典:資源エネルギー庁(2019年)『既認定案件による国民負担の抑制に向けた対応』
このような蓄電池併設を併設する太陽光発電所のうち、FITを活用する場合は下記コラムを御覧ください。
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ストレージパリティ時代の今こそ24時間売電にチャレンジ! FIT太陽光+蓄電池の着工のすすめ
3.ポストFIT時代の全量売電型太陽光発電所とは?
2012年よりスタートしたFIT(固定価格買取制度)は、2022年度より大規模な改正が予定されています。
その背景には、再エネ賦課金の国民負担増加や送電網空き容量が0になるエリアが出てくるなど様々なFITによって発生した問題が挙げられます。
そのため、今後はFITに頼らない太陽光発電所が求められています。