東京都内の福祉施設へ設置した、「完全オフグリッド型」太陽光＋蓄電池を活用したV2Hシステムです。

「完全オフグリッド」とは、Off-Grid 電力網に接続せず独立した電源であるということです。
通常の太陽光＋蓄電池システムは、不足する電気分を補うために、電力網に接続（系統連系）して運用します。

しかし、本事例では、85.3kWの太陽光パネルにDCリンク型の200kWhの蓄電池（100kWh×2)を設置したことで年中通して消費する電気の100％を太陽光パネルで発電した電気で賄うことができます。
オフグリッド型にしたことで、設置時の電力会社との協議が不要で短時間で設置することができ、発電開始後は電力会社へ支払う電気代が一切発生しません。

また、災害時に大規模な停電が発生したとしても、本事例の施設では通常時と全く変わらない電気使用が可能なため、BCP対策としては一つの理想形と言えるでしょう。

定置型蓄電池のみならず、電気自動車（EV)への給電・放電するために、チャデモ（CHAdeMO）規格の双方向DC-DCコンバータを設置しています。
日中は太陽光で発電し、消費しきれなかった電気がEMSの制御のもと、定置型蓄電池か、EVへ給電されます。

曇りの日や夜間など、太陽光パネルが発電しておらず、定置型蓄電池の容量も少ない時などは電気自動車（EV)から施設側へ電気を供給できるため、V2H（Vehicle to Home）システムを兼ねています

従来のV2Hシステムでは太陽光発電システムで発電された電気は、一度PCSで直流から交流に変換された後、再度AC-DC充電器を通じて電気自動車に充電していました。
その為、直流から交流への変換ロスが発生してしまいますが、今回のシステムでは太陽光パネルで発電した電気を直流のまま直接電気自動車に充電するため電力変換ロスを低減する事ができました。

システムの主な特長

１） CHAdeMO対応の双方向DC-DCコンバータと産業用大型蓄電池を統合したV2H（Vehicle to Home）

２）80kWの太陽光発電と200kWhの産業用大型蓄電池による完全オフグリッドを実現

３）長期間の停電時には他の場所で充電した電気自動車を活用して施設内に電力供給

４）通信ユニットを標準装備し、蓄電システムの運転状況やデータが収集可能